Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

2014-01-01から1年間の記事一覧

クリスマス休戦

ちょうど100年前の今日。第一次世界大戦の真っ只中に「クリスマス休戦」という、厳しい絶望の暗闇にほんの一瞬の光が差すような出来事があった。 目と鼻の先の陣地を奪い合って進退する泥沼の戦いが続く不毛の西部戦線。塹壕の中に這いつくばって這いつくば…

立ち食いそばのレーゾンディートル

三河のうどん文化で育った僕にとっては、そばは「ザルそば」や「年越しそば」程度の認識しかなかった。ところが首都圏に進学して住むようになって、北半球と南半球の違いのような環境の変化に接する事になる。 三河地方は関西と関東の味が交じり合った独自の…

愚有性との邂逅

1995年のある日。聞いたことのないレシプロエンジンの叫びが空から聞こえた。コントロールされていない粗削りで重たい鉄球のような排気音。 見上げると、仔羊のようなセスナ機を露払いに、西へ向かうその単発のレシプロ機は「零戦」だった。操縦法まで学んだ…

黄金の時

陽の長い夏の夕暮れ。人々は海辺の町の海岸沿いの道路にそぞろに集まってくる。屋台もある。二人だけの世界の恋人たち。海に下りて波と戯れる少年たち。老人たちのコミュニティー。それぞれが思い思いにゆったりとした時間を過ごしている。 20年近く前のこの…

洗濯談義

消えた靴下ポケットの飴乱暴に脱ぎ捨てられたタイツ足先の中の靴下はサザエのしっぽの先のようだ

ぷーさんの心の旅

くまのプーさん 幼少期の夢の中の彷徨いを、擬人化したクマとその仲間たちでファンタジーに仕立て上げた物語。 1960年代後半、世間はかなり物騒でしたが岩波少年文庫では、まぬけでドジなプーの日々の暮らしが、手のひらの上に点した幸せのように描かれてい…

安牌

券売機による食券制。システムやらメニューが分かりにくい。大盛りはサービスで、大盛り券も買ってカウンターへ出すといつも思い出す。 「特盛りですね」 「(あ、そーだった)…はい」 味はお店の名前の通りその通り、魚介系ラーメン。可もなく不可もなし、…

横綱の確執

浜松の帰りに数年ぶりに横綱ラーメンに寄ってみた。 あえて毒とわかりながら。つまり自分の好みではない。だけどみんな美味しそうに食べている画像をSNSに載せている。ひょっとしたらという淡い期待を胸に秘め。 「ご注文は?」 席に着くと同時に決断を迫ら…

40年の不在

40年ぶりに幼少期を過ごした岐阜の街を訪れた。 鵜飼で有名な大河を基軸とする街。 40年の間にどれくらいの水が流れたのだろう。 ずいぶんと街は変わっていた。 足の赴くままに彷徨いながら、その頃のテリトリーに近づいていった。 地図はいらない。その頃の…

好きな車

昔のフィアットパンダやミニは、なんだか幸せな気分になれる車でとても好きです。小さいころ大好きだった貧乏な叔母さんみたいです。

雨の朝

半島の海沿いの道を岬を目指して走っていた。 湾岸道路に突き当たると左へ曲がり、片側二車線の道に離陸するようにフルスロットルで加速してゆく。 クラスメイトは右こっちは左だ。 湾岸道路はやがて片側一車線となり、海岸沿いの白い破線のセンターラインと…

魔女裁判にかけられた革命家

女性博士は実は革命家だった。メディアを手玉に取り群衆を虜にした。

ニューシネマパラダイス

youtu.be 20代前半に劇場版を観てとても感銘をうけました。モリコーネの美しい旋律にのせ郷愁や哀別離苦への追憶を描いていく。アルフレッドの死によってトトは、過去を懐かしい思い出に変えることにできたのでしょうか。とても懐かしくて余韻の残るあたたか…

よくある話だけど

食べログランキング上位店。 お店のロゴデザインを大きくアピールした看板に、黒を基調としたシックなインテリア。スタッフはロゴ入りTシャツに巻きタオルの定番スタイル。 ラーメンは斜めにカットした深目のオリジナル丼でうやうやしく出されてくる。北島三…

好き

四天王ラーメン醤油 九州豚骨ラーメンに近いイメージで、好みのラーメンだから盲目になる。 文句無し。このお店は美味い。 来来亭に少し似ているかな。 ただ豊橋で一二を争うガラの悪い通りにあるせいか、沈没寸前の二等客室のような騒ぎのお店。そして一人…

名店見学による社会勉強という、自己を合理化する名目でラーメンを食べに行ってきた。ここらで評判の、おそらく地域一番店との誉れ高いお店。 住宅街のどちらかというと、ひっそりとしたロケーションにそのお店はあった。キチンとした和食屋か鮨屋のような佇…

春の彷徨

幼稚園の春の遠足でひとりはぐれたことがあるでもあぜ道のタンポポや田んぼのれんげに心奪われていてはぐれたことにすら気がついていなかった人を好きになるってそういうことだと思う

無償の愛

人生が楽しくて楽しくて仕方がないと全身で現すように駆けていく仔犬子供たちをからかう成犬でも心では優しく見守っている老いた飼い主を労わるようにリードする老犬彼らの見返りを期待しない献身的な愛から学ぶことは実に多い

春蕾 春雷

ゴンズイの群れのように街を徘徊する子供たち。気温が上がるのを待ち構えていた桜が眼を開け出し大気は霞み微熱を帯びてきました。春の訪れは雪が降り積もるように気がつくと一面銀世界のようにポンコツの家のペンキを塗り替えたようにそんな風にして春はや…

夜の底

酷く疲れていた目が覚めた時重力が倍になったように身体が重かった視力を失ったかのように真っ暗闇だった長い夢は思い出せない気分は最悪だ身体は覚醒しているようだ夜間飛行の彷徨いの末燃料が尽きた砂漠に不時着し意識を取り戻した時こんな気分なんだろう…

1972

1972年の今頃札幌で日本発の冬季オリンピックが開催されて、ガキんちょの自分はその当時岐阜に住んでいた。 その頃世界はとってもアナログで、アナログな長屋スタイルの借家に住み、アナログな近所付き合いのとなりの看護婦のお姉さんの家で、アナログテレビ…

幸せのにおい

幸せのにおいがあるとしたら、そのひとつかもしれない。 開店前のミスタードーナッツから、こんがりとした甘くて暖かい香りがふわふわと流れてきて、冬の朝の凍りつくような空気を薄めてくれる。 店内はまだ暗いが誰か忙しく働いているのがうかがえる。 ああ…