Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

旅の終わりに

両親ともに入院して2カ月となり、次第に重篤な状態となり現在は予断を許さない状態です。

 

アメリカンインディアンのこんな言葉があります。

「今日は死ぬには一番良い日だ」

 

現代の高度医療で平均寿命は伸びましたが、延命措置のため「死ぬべき時に死ねない」不幸もあります。

 

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母の荷物からこんなメモが出てきました。

母はもう10年も前に覚悟を決めていたのですね。

 

早く苦痛から解放させてあげたい。

その希望に添えなくてとても心が痛むのです。

 

あとはインスタにそれとなく上げてきた近況で

 

https://www.instagram.com/p/B6xUz9CpEhM/

ガードレールを飛び越えてセンターラインを渡る風 その時その瞬間僕は一人で決めたんだ今日からは歩く花根っこが消えて足が生えた野に咲かず山に咲かず愛する人の庭に咲く愛する人の夢の中に咲く

 

 

https://www.instagram.com/p/B6vbWaAJ8ny/

広島丹那の母の実家の祖父の工作室祖父は戦争から帰ってきて、専売公社を定年してからはここで、丹那港の海の仲間のための道具やデジタル時計を作り続けていたここに篭ってみたり、丹那港から祖父の和船「夕凪丸」で海に出ていた祖父と釣りに行くと…ああ新年ですね僕の魂の源です

 

https://www.instagram.com/p/B6SejYcp7dy/

大空の色と残月の光とで今日の天気がわかる。風の清いこと寒いこと、月の光の遠いこと空の色の高いこと! 僕はきっと今日は鹿が獲れると思った。

 

https://www.instagram.com/p/B4t6KfPJAph/

入院中の両親のために多くの時間を費やさなければならないのですが、何というか深い淵を覗きこみ、心の深層と対話するような時間でもあります河合隼雄センセの本はそういった時の参考書みたいなもんですね母は死を受容し静かに時を過ごしていますいっぽうの父は死を認めず死を恐れているために自我のコントロールが困難になっています 否認と孤立そして怒りです それが依存につながっていますなんといいますか、親からの最後の学びです

 

https://www.instagram.com/p/B4dFdjAplci/

両親ともに入院してしまいまして入院となると仲良く枕を揃えという訳にもいかず、豊橋の西と東の端っこに分かれてしまいました東の父を参ったあと、あまりの天気の良さに浜名湖を一周して夕陽を追いかけながら西の母の元へ西の空が真っ赤に染まる頃に母の元へ到着そんな顛末を話すと、その見事な夕陽が見たいとコロコロ点滴スタンドを杖代わりに西の窓までゆっくりとゆっくりと本当にゆっくりと夜の闇に追い越されてしまうのではないかと心配しました鶴瓶師匠落とす勢いの秋の日ですからね紅に染まるとはこのことじゃね文系の母は言いました なかなか決めてくれます

 

https://www.instagram.com/p/B4Jvfi2J_cN/

母の調子が悪くまた入院したのです入院セットのシャンプー、石鹸、タオル、タオル、タオル…おなまえマッキーで母の名前をひとつひとつ書いていくのです母が幼い子にするように

 

https://www.instagram.com/p/BylLpOzp2Jt/

認知症が進んでいる恐れがあるからご配慮と体制を再考ください母の担当医から電凸があった末期癌で療養中の実家の母のもとを訪れるとリビングの窓際で読書をしていたイージーチェアーに宇宙飛行士のようにすわりスツールに足を載せ老眼鏡もなしで 「眼鏡なくて読めるの?」 「それが平気なんよ。この本なんでウチにあるんだろうね?誰のかね」見るとそれは 『ライ麦畑でつかまえて』村上春樹訳なんとまたマニアックで青臭いしたっけそれ俺のだし 「とにかくね、僕にはね、広いライ麦の畑やなんかがあってさ、そこで小さな子供たちが、みんなでなんかのゲームをしているとこが目に見えるんだよ。何千っていう子供たちがいるんだ。そしてあたりには誰もいない――誰もって大人はだよ――僕のほかにはね。で、僕はあぶない崖のふちに立ってるんだ。僕のやる仕事はね、誰でも崖から転がり落ちそうになったら、その子をつかまえることなんだ――つまり、子供たちは走ってるときにどこを通ってるかなんて見やしないだろう。そんなときに僕は、どっかから、さっととび出して行って、その子をつかまえてやらなきゃならないんだ。一日じゅう、それだけをやればいいんだな。ライ麦畑のつかまえ役、そういったものに僕はなりたいんだよ。馬鹿げてることは知ってるよ。でも、ほんとになりたいものといったら、それしかないね。馬鹿げてることは知ってるけどさ」ああ馬鹿げていることは知っているさ 素敵じゃないかさすが俺の母だshe is okay