原点
絵画の作家活動をするために上京した娘がお盆の間の数日間帰郷していた。
合同アトリエでアトリエ展を開き、なかなかの手応えがあり絵も売れたと。
それは良かった、作品をもっと増やさなきゃね。
現代アートというか、哲学的なテーマがあってその心象風景を描くような作風でちょっと難しい。
また著名な現代アートの大作制作の下働きで10日ほど東北の山ん中でひたすら描いてきたと。
上京してほんの数ヶ月だけど、佇まいも驚くほど逞しくなっていた。
結局のところ全てを決めるのはコミュ力なんだけど、苦手としていたそこが補完された感じ。
いつも娘の行動力というか腹の据わったところには感心させられる。
そんなわけで夏も終わりだ。
春の新年度から郵政車両の保守業務を請け負うことになった。公益事業というか必須インフラの保守なので仕事は枯れることはない。単価が安いので二の足を踏んでいたが、実際に始めてみると僕は手が早いので、現実的な単価はなかなか悪くない。
前任者は80でリタイアするまで50年郵政保守をしてきたという。
ささやかな鉱脈を掘り当てたようだ。
そんなわけでいまはひとり三交代の仕事をしている。
相変わらず新幹線保守の機械オペも続けていて、それを未明から早朝までやってそのまま郵便局の地下で郵政保守をする。
その後少し寝て午後から自分のワークショップを仕事をする。これはかなり仕事は絞っている。
そしてまた新幹線保守の夜勤に出かける。
すごいハードだけど、夜勤が早いと8時で遅いと24時出勤で、明けも早いと3時で遅いと6時半。
郵政保守も自分のペースでできるから何とかなっている。
これが定時定量だったら無理だ。
そんな毎日の中に時々休日をとるり、豊橋魚市場前の伝説の中華料理屋に行ってきた。横浜中華街出身の腕の確かな伝説のシェフがやっている。
齢80を軽く超えているであろう年老いたシェフはうまく立回るのは苦手のようで、場末感のあるボロボロの汚いお店で中華鍋を振るう姿は、まるで峠の砦に篭ったスパルタ人のようだ。
料理としてはかなりラフだ。
だが魂のこもったパンチのある味で実に心に響く。熱狂的なファンが多いのは実に良くわかる。
だが残された時間は少ない。
Youkarouhanten - Toyohashi/Chinese [Tabelog]
その後少し休んで午後の遅い時間から浜名湖に出かけた。
このヤマハマリーナは中学生でディンギーヨットに陶酔していたころ通った場所だ。
この辺りを訪れると、様々な過去のことが思い出される。その頃沖縄から転校してきた僕は、豊橋の村社会というか閉塞感になかなか馴染めなくて息の詰まるような毎日だった。
そんな中全力でディンギーヨットを操るというのは例えようもない高揚感があり、時に奈落の底は引きずりこまれるような恐怖や絶望感を乗り越えるというのは、実によいメンタルのトレーニングとなり自分の基礎になっているように思う。
やはりここ場所は自分の原点なんだと改めて痛感した。
振り返ると最高の夕陽があるではないか。
今年も、暑かったけど短かったな、夏