ローマの休日と天動説
アン王女の存在が不意に浮かんできて頭の中から離れなくなった。
初めて「ローマの休日」を観たのはいつのことだったのだろう。子供の頃にテレビの洋画劇場で観たんだと思う。
再見して心底驚いた。
なんとモノクロ映画だった!
記憶ではイタリアの光溢れる総天然色だった。
天動説をずっと信じていたような気分だ。
活気溢れるローマの街並み。快活なローマ人たち。
アンがロングヘアをばっさりとカットするシーン。
鏡の前のアンに美容師が問う。
ロングヘアの長さを計りながら
「素敵なロングヘア。いかがしましょうか?」
「カットして」
「(マジか)どれだけ切りましょうか?これぐらい?」
「いいえ、もっと」
「ではこれくらい?」
「いいえ、もっと」
もっと…
「どこまで切りたいのか自分でやってみて」
世界でもっとも素敵なショートカットの長さを示すアン
「Are you sure ???」
「Yes quite sure thank you」
そして世界が変わる。
アンの輝くような笑顔は、まるで魔法の杖をひと振りして世界を総天然色に変えたかのようだ。そのシーンがあまりに印象的で記憶がカラー化されたのだろう。
スペイン広場 ベスパ ジェラート 真実の口 花束
どれもこれもモノクロだったなんて
オードリー・ヘプバーンの魔法にかかっていたんだな。
アン王女はやはり立派な王女でした。
真剣に人を愛することができる者は、自身にも責任を持ちます。
私は家族と国への責任を完全に自覚していなかったら戻ってこなかったでしょう。本当に永遠に。そして私は生きている限りここでの思い出を大切にしていきます。
どうやらそろそろお家に帰ったほうが良さそうだ。