Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

時間どろぼう

「おたずねします」
仕事場の前にある歩道橋から下りてきた男が言う。

34歳職業営業、体育会系出身といった感じ。ラフ過ぎない程度にラフな格好に、似合わない大き目のブリーフケースを携えている。
絡まれないように警戒する一瞬だ。

 

「○○へはどういったらいいですか?」

そこへは徒歩で小一時間はかかる。たしかに最寄り駅であるかもしれないが全くの的外れだ。おまえの開けっぱなしのブリーフケースから覗くそのスマホは一体何のためにあるのだ。

 

「歩いていくには厳しいのでタクシー呼んだ方がいいですよ」

目的地の方角を示しながら雑に答える。

 

ジーザス・・・
汗を拭った男は大き目のブリーフケースから、目的地のチラシと思われる冊子を取りだして何かを探しながら言う。

「タクシーを呼んでもらえますか?」

 

おいおい、僕はお前の部下ですか?駅員ですか?公僕ですか?下僕ですか?ここは飲み屋じゃないですよ。だいたいおまえさ、丁寧な言葉遣いならなんでも許されると思ってんのかよ。

「それはご自身でどうぞ」

 

「いやタクシーの番号わらないんで、ご存じだったらと・・・」

 

おまえのスマホはなんのためにあるんだ。ガラケーだったらまだいいけどさ。

「いえ、こちらも調べなければならないのでご自身でどうぞ。それでは」

 

 

そのぐらい教えてあげなさいよ、と思いましたか??
たしかに僕は偏狭な性格かもしれない。

 

okay
仮に僕がタクシーを呼んだとしよう。
タクシーが来るまで、早くても5分。運が悪ければ2、30分。

そのあいだその男は世間話をしてくるだろう。
それが礼儀とばかりに。
どうでもいいバイクの話をきっとするだろう。
親愛なるゴーストタウンの我が街の話もするだろう。
そういうタイプだ。

 

糞だ。

 

もちろんここにはコストも発生するがそれは別にいい。
ただ自分の時間を盗まれるのが本当に嫌なんです。

 

おかげでこんな文章を書く羽目になるのだから。

時間どろぼうさん、僕はモモじゃないよ。

 

 

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※仕事場の立地的に頻繁に道を聞かれます。もちろん弱者には親身になって対応しています。