明日出来ることを今日やるな
明日出来ることを今日やるな
新卒で就職した会社で直属の上司がこう言いました。
地域密着の公益性の高い大手(地域では)企業です。
普段は6割ぐらいの力で仕事をして、いざという時に全力を出せばいい。いつも全力近いと疲れてしまって必要な時に力が出せない。
上司はそんな合理化した講釈を垂れていましたが、それは単に仕事をしたくないだけです。
チームで仕事をする時も上司はこういっていました。
一番仕事が遅いやつがぎりぎりついていけるレベルでやるのがベスト。そうすれば全員が頑張っているように見える。
つまり誰かがサボっているのを目立たなくするためです。
僕はポリシーとして、人の倍とまではいきませんが、厳しい時でも最低限は人の1.25倍は頑張るようにしていました。でないと生き残れないのは痛いほどそれまでに経験していたので、上司の言葉にはかなりの違和感がありました。
実行予算を組むときは、まずは会社の取り分を所定の割合でスパッと抜いて、つぎに必要経費を「あれとアレを買って(伝票が利く仕入れ先で私的な経費分もついでに)接待費(飲み代)はこれぐらいいるな」スパッと抜きます。
残ったお金で必要な費用を予算組みしていき、外注先(下請け)に発注します。
内容によってハマり確定で外注先は、「出来るかヴォケ」なんてことにもなります。ですが、予算がないから何とかこれでよろしく、他の仕事でカバーするから、この間のアレは儲かったでしょ??なんて押し切ってしまいます。
もしくは仕事を断らない(断れない)下請け先に身を削ってもらいます。そこはそこで何とかするから大丈夫という図式です。要はその下請けさんは黒いやり方で、何とかするんですけど。
下請けさんに回す金が厳しい時は、元請け(我が社)の粗利や経費を少し削ればいいのに、つまりそういう実行予算を組めばいいのに、なんて思っていましたが、上司(会社)の指示通りに機械的に私的に実行予算を組みます。
とはいえ、本当に下請けさんが死亡してしまったら、それはそれで困ってしまうので、事後に泣きついてきたり、カチこんできた下請けさんの尻を拭いたりはしていました。
会社の利益は堅実に冷酷に確保し、個々はゆるく仕事する。社全体の予算や経営を俯瞰していたわけでないので、一概に論評するわけにはいきませんが、まあそんな感じでした。善悪でもなくスタイルの問題ですかし、とやかくいうつもりはありません。
バブルのころはそれで全てうまくいっていました。末端も利益は出ないにしろ、とにかく大きなお金が飛び交っていましたから、それなりに上手くいっていました。
とにかく川や海には魚が溢れかえっていて、お腹がすいたら簡単に食い物を手に入れることができたのです。漁船が無くても、少し工夫するだけでいくらでも魚がとれたのです。
そのバブル絶頂のころ僕は会社を辞め、畑違いの業種の(つまり趣味を仕事にしたのです)、まるで満蒙開拓のようなギャンブルに出るように起業しました。
その後バブルは崩壊しました。
天変地異により海や川から魚はいなくなってしまったのです。魚がいるところに獲りに行ける体力があるものだけが生き残り、そうでない者は野垂れ死んでしまったのです。
その後リーマンショックも経て、在籍していた会社は今でも健在です。上司が数人廃人になったり、給与カットなど、色々とゴタゴタはしたようですが、公益性が高い企業なので何とかなるのです。
汚れ仕事をしていたある下請けさんは潰れました。そこはファミリー企業で、一族離散で親族がリアルに数人死亡しました。事後に聞いたその悲惨な顛末に随分と心を痛めたものです。
でも視点を変えれば、その下請けさんはそもそも魚を獲るスキルが足らなかったのです。
ところで僕の満蒙開拓の顛末はというと、まるで大日本帝国の滅亡かのようでした。
予測以上の厳しい原野でしたが、それでも帝国が邁進している頃は、儲からないにしろマーケットがまだまだ大きく、メーカーや仕入れ先なども懐が大きくて、大変ながらもなんとかやっていました。
まだまだ川に魚はそれなりにいたのです。
しかし戦局はどんどん危うくなってきます。
そして帝国が滅亡したかのように、リーマンショックが訪れました。
満蒙ではリーマンショックのように、ソ連軍が国境を越え雪崩れ込み邪知謀略の限りを尽くし阿鼻叫喚の様を呈し、多くのものが殺されたり野垂れ死にする運命となり、人々は命辛々逃げ出しました。
僕の業界は最盛期の1割程度の規模になっています。
メーカーの下で食い扶持を確保することを、最終的な目的にしていたものは厳しい側面に立たされています。
満蒙の地の多くは荒れ果て元の原野に戻ってしまいました。僕はそんな中に取り残された水辺の独立集落といった感じでしょうか、それでも独自の道を切り開き可能性を模索するような日々です。
『この世界の片隅に』の喩えでいうならば
自分で選んだ道の果てじゃけえ
そんな想いにすがって生きるしかないのです。
"Minority" Greenday
I want to be the minority
マイノリティでいたいんだ
みんなに認めてもらいなんて思わない
みんなの常識なんてぶっ潰せ
だって俺は俺でありたいんだ
俺はこの糞みたいな世界に忠誠を誓う
そこに犬の糞みたいにひとりで立っている
人混みに埋もれたような面で
調子にのるな 型にはまるな
自分を信じろ
それしかない
みんなに認めてもらいなんて思わない
みんなの常識なんてぶっ潰せ
だって俺は俺でありたいんだ
敷かれたレールから抜け出した
群れから跳び出す羊の様に
狂ったマーチのように
自分のリズムだけを頼りに
それが俺の知っている唯一のやり方
ひとつの光 ひとつの心
暗闇の中で光っている
数えきれないほどの挫折による沈黙の暗闇から
”声を絞り出すのよ!”彼女は俺に叫んだ
みんな自由だ
この糞野郎ども
自分の目で見たことを信じろ