Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

I hope not

昼間、駅前の金物屋に行ってきた。

昨日出来上がってきた、キーシリンダーから(鍵穴から)作ってもらった鍵の修正に。歯の噛み合わせのようなもので、微修正で鍵屋のミスではなく通常の流れ。

パターンの刻印がなく、使い込んでいるキーシリンダからの鍵の作成は中々の職人技で、ここの鍵屋でないと上手くいかない。しかも早くて安い。

500㏄のスクーターの試運転がてらぶっ飛ばしていった。エンジンの低速運転の混合比をパイロットスクリューを1/4回転リッチにしよう。

お店に入ると50代ぐらいの白髪頭でカラシ色の作業ズボンの先客がいた。鍵屋(金物屋)のおばちゃんに挨拶だけして側で待った。

先客は人のことを、官憲の類のように足下から不躾に見てきて最後に人の顔をジロりと見た。僕は知らんぷりして顔も向けない。

嫌な野郎だ、見てんじゃねえよ。

僕は細身の黒のワークパンツを腰パン気味に履き、背中にでかくゴールドで69とプリントされた黒のTシャツに白のコンバース

こいつ現場監督でJVなんかのジェネコンの所長クラスだな。近くのマンション建設現場か何かの。

彼の依頼品が出来上がり清算で領収証を要求している。

 

偉そうに彼はこう言った。

竹中工務店

 

ビンゴ

マイネーム ホセ・ヒメネス

 

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大好きな映画「ライトスタッフ」の好きなシーンのひとつ。

ホセ・ヒメネスの物まねをしながら母艦に着艦する、のちの宇宙飛行士アラン・シェパード。

ホセ・ヒメネスはメキシカンを小馬鹿にした60年代のキャラクターで、メキシコ訛りのホセがコントを繰り広げる。アメリカのレイシズムを前提としたブラックジョークで、今じゃ人権問題となりとても許されないだろう。

興味深いのは「ライトスタッフ」の中で、冷戦下のNASAや世界をホセ・ヒメネスのキャラで揶揄している。

NASAのスタッフが、宇宙飛行士候補のスカウトで出張先のホテルのTVで「ホセ・ヒメネスの宇宙飛行士コント」をまずそうなヌードルを喰いながら観ている。それを見た同僚が不機嫌そうにTVを消す。このコントではNASAを痛快に皮肉っているからだ。 

José Jimenez: "My name...is José Jimenez."
Ed Sullivan: "Well, now I see you have some of your space equipment with you. Uh, what is that called, the crash helmet?"
José Jimenez: "Oh, I hope not."

「そのヘルメットは墜落した時のためかい?」

「そうじゃないことを祈るよ」

 

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アランの着艦シーンではホセ・ヒメネスの物まねをしながら、ワシントンから来たNASAのスカウトマンをネタにしている。

 

だが、アランはその後の宇宙飛行士になるための健康診断で、メキシカンをネタにした報いを受けるのである。

病院内の検査で人事不省になったアランを、ゴンザレスという巨漢のメキシカン看護師がアランの首根っこを掴んで、憐れみながらつまみ出すのである。アランはそこで最初はゴンザレスを、メキシカンということで小馬鹿にしていた自分を呪うのである。

 

金物屋の竹中マンのような人間は実に多い。

でもそれは己の価値を下げ、それがレッテルの品位も下げることにもなりますよ。