Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

映画「世界最速のインディアン」

 
バート・マンロー(Burt Munro)ことハーバート・ジェームス・マンロー(Herbert James Munro, 1899年3月25日-1978年1月6日)は、ニュージーランド、インバーカーギル出身のライダー。1967年、ボンネビル・ソルトフラッツにて自ら改造したインディアンで1000cc以下のオートバイ陸上速度記録を樹立した。彼の記録樹立までの奮闘は、アンソニー・ホプキンス主演の映画「世界最速のインディアン」(2005年)の題材となった。彼は、1927年に結婚した妻フローレンス・ベリル・マーティンとの間に、ジョン、ジューン、マーガレット、グウェンの4人の子供をもうけた。1978年1月6日にインバーカーギルにて死去。78歳没。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/バート・マンロー
 
彼の冒険を映画化した「世界最速のインディアン」2005年
 
 
夢を追わない人間は野菜と同じだ
 
マンローに憧れる少年に問われて、マンローはこう答えた。
ん?
謎かけのような言葉に逡巡すると、劇中でも少年にツッコまれた。
「どんな野菜?」
「さあな…キャベツだ。そうだキャベツだ」
 
ますますわからん。
あとで英文を確認してみると
 
If you don't follow your dreams, you might as well be a vegetable.
「夢を追いかけないんだったら、野菜になった方がマシだ(せめて人様の食糧として役に立つ)」
ということなのかな。でも少年には通じなかったのでキャベツに責任転嫁したと。
 
映画自体は、いくつになっても夢を諦めるな、思い続ければいつかかなう(環境もそろってくる)、顔にシワがあっても心は10歳だ、そんなBGMのように言葉が流れるロードムービー
 
かなり評判の良かった映画のようだけど、僕はさほどでもなかった。野菜が気になっただけ。
 
色々なエピソードがファーストフードのように薄っぺらに感じられたし、モーターレーシングつまりスピードのリアリテイが足りなかった。
 
やっと自由になれる、やっと解き放たれるんだ
 
スタートの瞬間はこんな気持ちになる。モーターレーシングはとにかく準備のスポーツで膨大なエネルギーがいる。スタートラインについて、やっとひとりになれる。
 
抑えつけていたスピードの悪魔が暴れ出す真実の瞬間
 
宙を舞いながら、火花を飛ばしながらバラバラになっていくマシンが見える。アスファルトにもんどり打ちながら放り出される。とんでもないスピードだ。いつになったら止まる?擦過熱はそのスピードに比例する。熱い。やっと止まった。猛烈に痛い。痛い時は息を早くするんだ。
 
そんなモーターレーシングのリアリテイが僕には全く足りなかった。バートモンロー役のアンソニーも悪くなかったが、スピードの悪魔に頬を舐められた顔をしていなかった。
 
最近知ったのだが、実写のドキュメンタリーが存在した。
 
 
死ぬほどカッコいい。映画製作者もこれを観たと思うし、観たらやる気無くすような気もするのだけど。
 
尊敬する広島の亡き祖父もこの映像のマンローにオーバラップする。寡黙だけど背格好はこんな感じで、ヘタレなことを言う奴は直ぐぶん殴りそうな雰囲気はそっくりだ。
 
大きな手で物を生み出す男
 
前半のマンローのインタビューで握りしめていたのはコンロッド。クランクシャフトの回転運動をピストンの往復運動に変える重要な部品だ。コックではない、ロッドである。
 
ボンネビルで走るというのかどんな事なのかは、このジャパニーズガイが雄弁に語っている。エンジン屋としてはまだ甘い。