Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

ギラギラとした重たい球

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豊橋 「くいば」
カウンター越しの目の前の寸胴では、豚骨スープが地獄の釜のように煮えたぎっていた。
若手のスタッフが横の寸胴で茹であがった麺を湯切りしている。
だが切れが甘い。
先を読んだ動きも足りない。
背後では店主の厳しい目が光っている。

ラーメン 細麺 650円

スープはダーク&クリーミー。
毛穴から豚骨臭が噴き出してきそうな、中毒性のある骨太なパンチのある味わい。

これはなかなかである。
環七「土佐っ子」を思い出す、脳幹に響くずしんとくる味。

中細麺はヘヴィーなスープとは対照的に、貞淑なパートナーのような控え目の存在。

やさしくも厳しい目をした店主は元々は港湾地区にあった家系ラーメンの出身。早朝から営業し、仕事上がりのトラック運転手や港湾労働者に愛された店。

お冷はセルフで氷ごとドバっと出てくるスピード重視のタイプ。
後輩は先輩の水を手際よく用意し演出するには最適だ。

店内は半島状のキッチンをカウンターで囲むタイプでスタッフは気を抜けない。
店主はクールに采配をふるい、彼らはそれぞれの役割を忠実に果たしている。
まるで野戦病院だ。

深夜4時まで営業している。酔客や骨太な味を求める客は決して上品とはいえない。
だが野戦病院に担ぎ込まれ安堵した負傷兵のように彼らは従順だ。

数々の修羅場をくぐり抜けた投手が投げる重たい球。
そんな骨太なスピリッツの感じられる味。
味は人となりとはいいますが、店主の人柄とポリシーが感じられ、ファンが多いのも納得です。

ごちそうさまでした。


 

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若手のスタッフの甘い湯切りは、後で店主から優しくも裏には厳しさのある注意があった。
やり直しだな、と思っていたけどそれは帳消しだ。次にカバーしてくれれば良い。
素振りしろ。
 

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