背中
死んだ明治生まれの広島の爺ちゃんは、真っ直ぐで正義感が強く頑
およそ組織向けじゃないと思うし、仕事でどうしても許せない事が
ソ連に抑留され大陸から復員復職後は退職まで勤め上げ、上京して
とにかく曲がった事が嫌いで、気に入らないものはぶっ飛ばしてき
知り合いのYさん家と同じで、自転車教える時は坂の上から背中を
そんな爺ちゃんが危篤と聞いて広島まで車を飛ばした。
新幹線の方が早いんだけど、車で行くべきだと思った。…と後で思
関ヶ原を駆け抜け大阪を越えると、名神と山陽道がまだつながって
夕暮れの広島の街の渋滞の中、太田川を渡り宇品の近くの病院に着
病室に入ると爺ちゃんには色んな管がつながっていた。
もうお終いだと直ぐに分かって、もう涙が止まらなくなって泣き
「遅くなってゴメン、もっと早く来るべきだったんだ!」
あんなに取り乱したのは後にも先にもない。
もちろん爺ちゃんはピクリともしない。
そしてそのままお葬式になった。
お葬式の時に爺ちゃんの舎弟から戦争のことを聞いた。家族のため
言葉の少ない爺ちゃんの大きな背中から自然と学んだことは多い。
「おまえら死んだ爺ちゃんが生きてたら、いの一番にぶん殴られるぞ
そんな世間の出来事が続いていています。
強く正しく生きていくことは自己矛盾との葛藤なのです。
そんなわけで僕は元気です。
ほな
ちなみに爺ちゃんはリアルにデカすぎて棺桶に入らなくて葬儀屋が
なめんなよ(笑)