Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

パーマネントバケーション

 ジム・ジャームッシュが大学卒業制作として撮った氏のデビュー作。
 後の 「ストレンジャー・ザン・パラダイス」でその才能が認められて、この作品も日の目を見ることになった。

 おそらく1990年前後に深夜映画でたまたま見た映画。それっきりだが実に印象に残っている。
 
 ある一定の時期の若者特有のニヒリズムがベースとなっている。青臭さ、喪失感、孤独を漂わせながらニューヨークの街を彷徨っていく。自分の居場所が見つからない。フランス映画のように詩的だったり哲学的だったりすることもなく、淡々と流れていく映像で実に退屈で辛抱のいる展開であるが何か惹かれるものがある。


 ドップラー効果の話をするサックスプレイヤーの黒人と会った。
話を聞いているうちに彼が自殺しそこなった話だとわかる。売れなくて絶望し飛び降り自殺を決意した。ビルの屋上で「虹の彼方に」を吹くのだがどうしても最初のフレーズが思い出せない。そのうちにオマワリがやってきて飛び降りたけど死ねなかった。遠くから聞こえてくる救急車のサイレンのドップラー音で・・・彼は自虐的に笑っていたが、青年は笑えなかった。

 ヘリの音に怯えるベトナム帰りのホームレス。頭のいかれた女性シンガー。精神病院にいる母親。
 
 エンディングで青年は船に乗り街を出て行く。目指す先はパリだ。船尾に立つ青年。船尾波の向こうに遠ざかる高層ビル群が見える。

「僕の人生はいうなれば永遠の休日のようななものだ・・・」

 どこだって同じだ。きっと青年はそれを確かめに行くのだろう。