Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

昨日は美しかった

愛読書のロアルド・ダール「飛行士たちの話」が新訳となり装丁も一新されたという。

飛行士たちの話

飛行士たちの話

 

これが従来までの表紙で、これがなんともポップで意味深なイラストに変わった。

 

 

飛行士たちの話〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

飛行士たちの話〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

あざといな

これが第一印象。この色とりどりの飛行機たちの群れは、宮崎駿紅の豚」のワンシーンを意識しているのは間違いない。というより、「紅の豚」自体がこの「飛行士たちの話」をリスペクトした作品なのであり、色とりどりの飛行機たちの群れというのは短編集「飛行士たちの話」の中の『彼らは年をとらない』というエピソードで描かれている。

未帰還のフィンの機が二日たって戻ってきた。いったい今まで何をやっていたんだ、フィンの話を聞くとまるで時空を彷徨っていたような、それこそ雲をつかむような摩訶不思議な話だった。

雲の中に迷い込んだ機がやっと雲の外へ出ると、長い飛行機の群れが列を成して飛んでいた。無数の新旧多種多様な色とりどりの飛行機たちで、乗っているのは死んでしまった航空兵たちだ。彼らは最後の飛行をしていて、それが幻想的な景色を作り出していた。

葬列なのである。

その葬列に吸い込まれるように加わるとフィンは不思議な力と光に包まれて、飛行機を操縦しているというより、勝手に飛行機が飛んでいるような状態になった。

そのうちに葬列は降下していき美しい草原に次々と降り立っていく。フィンの機も導かれるように下りていった。だがいつまで経っても着地しない・・・

フィンは気がつくと基地に下り立っていた。フィンの時間は1時間半しか経っていないのに、みんなは二日もどこへ行っていたんだと騒いでいる。

 

このシーンを「紅の豚」では空の墓場として、宮崎駿からロアルド・ダールへのリスペクトが感じられる描きかたをしていたのだ。

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それを出汁に新訳の表紙が作られたのは間違いない。

でもこれはポジティブに捉えている。だがamazonのレビューによると新訳がどうしてもしっくりこないらしい。

どうしたもんだか。

 

ちなみにネイキッド&アフレイドに参加するとしたら、許される唯一の携行品としてこの「飛行士たちの話」を持っていきたいくらいに好きな短編集。

 

飛行士たちの話 -Over to you-

「ある老人の死」ついにその日がやってきた。崖からぶら下がった指先が離れる日だ。

「アフリカの物語」毒蛇によるおそろしい殺人の話

「簡単な任務」神さまへ通じる電話と痛み止めのモルヒネの悪夢のような彷徨い。

「マダムロゼット」

「カティ―ナ」心に刺さる、少女のたったひとりの最後の戦い

「昨日は美しかった」

「彼らは年をとらない」

「番犬に注意」水の硬度がキーになる。

「この子だけには」ダールの母への愛情と、母の愛の尊さを描いている。

「あなたに似た人」

 

以下amazonのレビューからの引用です。

手厳しい評価はつまりそれだけ愛されている作品だということ。

 

形式: 文庫
内容はいい、それは分かっている。今風の感じがするが、それはそれで構わない。

しかし、旧バージョンの和田誠の表紙まで変えなくてもいいだろうに(版権の都合とかだったら別ですが)。

宮崎駿のアニメのシーンを描いたつもりなのだろうが、これはポップに過ぎると思った。
この表紙においおい書店店頭で慣れていくのだろうが、やっていいことと悪いことはあるのだと思ってほしい。

新訳の深夜プラスワンの表紙はよかったのに。★1つぶん、がっかりしました。まじめに。

 

形式: 文庫
彼らに年は取らせまい?
「彼らは年をとらない」ですよ。
新訳版は酷すぎで、なぜ前の侭で出してくれなかったのか。

他の話もパソコン翻訳機通したみたいに何が何やら頓珍漢な会話で、初めて読む人には何を言っているのか解らないでしょう。
緊張感や垣間見えるはずの乾いたユーモアも消えてしまいました。
「猛犬に注意」はラストでガックリ、ネットでも読める旧訳版の緊張感ある台詞が…

時々読み返してみたくなる本ですから購入したのですが、実家の倉庫に有るはずの旧訳版を探すことにします。