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Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

京都烏丸でかけがえのないラーメンを

食べログでなかなかに読ませる印象的なレビューを書いている人の文体で書いてみました。

普段の僕の表現と全く異なるので興味深くまた面白かったです。

 

 

ここまでラーメン屋のレビューばかりを書いてきたが、ここでひとつ京都で出会ったハイレベルな店を紹介する。


紹介するとは言っても、京都では今更という感の強い有名店であるのが予想されるが、今月の関西出張でかなりのハイペースで目ぼしいラーメン屋を巡ってきた中で、改めてここ京都の麺匠たか松を訪れた感想を記しておきたいのである。

ラーメンという食べ物の味わいが、それを食べる「場」と密接不可分であるということを最もよく実感できる店であると思った。


もとより京都という土地柄からして、訪れる者を独特の情趣で取り巻くようなロケーションの強みに富んでいるのだが、この店は正にそんな京都の風情と多様な人々の情味が凝縮された場である。

麵は長野県産小麦を石臼で挽いた全粒粉を混ぜ込んで作った、小麦の風味たっぷりの特製麺で、日本蕎麦のような褐色の麺はやや細めに切り出してある。つるつるとしたノドごしと、ざらざらとした舌触りが上品でありながらも、どこかクセになる食感が特徴である。

スープは豚、鶏、海老やホタテ、そして数々の魚介のれぞれの味を抽出するために、最適な時間で別々に炊き込み、その出来上がった出汁を順番に合わせて、スープを完成させている。

つけ麵は3幕に及ぶ世界が楽しめる。1幕では切れのあるスープの味と麵の小麦の風味をストレートに味わう。2幕では麵を半分ほど食べ進んだら、添えてある玉ねぎのみじん切りを入れると、シャキシャキとした玉ねぎの食感と香りがスープの旨味を深め、玉ねぎの甘味が素晴らしいハーモニーを醸し出す。3幕では添えてある酢橘を麵に絞ってそのまま味わってみると上質な日本蕎麦のような味わいに驚くだろう。そしてその酢橘を振った麵をスープにつけると、2幕の濃厚さがすっきりとした世界に変化する。

またらぁ麵においては随時、黒七味や黒ばらのりでスープの味の変化を楽しんでもらいたい。魚介のえぐみや苦みを全く感じさせないクリーミーなスープは秀逸であり、それに黒ばらのりを振りかけると、一気に磯の香りが広がったのには心底おどろいた。

 

メニューとしては一押しの「つけ麺(鶏魚介) 850円」、基本の「煮干し香るらぁ麺 680円」、【期間限定】の「老舗の蔵出し味噌らぁ麺 800円」など。

 

若くキビキビとしたスタッフたちは、優しく親切な接客であり、初めて訪れる客もまず店の人から掛かる一声で魔法のように肩の力を抜け、自然と店内に溶け込めるのである。
一見さんお断りの気質もある京都であることを忘れさせてくれる、これこそがこの店の持ち味とも言えよう。
京都に息づく生活感を醸し出す学生や会社員風の人々らと、遠方から訪れる観光客とが自然と小さな空間を共有する連帯感をもって調和するような、不思議な親和性がここにはあった。

外から見れば、ただの小さなフランチャイズ風漂うラーメン屋である。
しかしここではオリジナリティあふれる日本蕎麦のような麵と、手を尽くして仕込まれたスープらを昇華させるセンス、そして京都の町の情味とが渾然一体となって、一つのご馳走が供されている。

ひとたびこの味わいに触れたならば、再訪は必至であろう。

何よりもこの好立地と手を尽くした料理での、この安価な価格設定にも驚かされた。
思うにこれが、日本人の料理としてのラーメンというもの提案なのではないだろうか。

ごちそうさまでした。

 

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