The real barrier wasn't in the sky
空には悪魔が潜む。
挑んだものは死ぬと
映画はこんなナレーションで始まります。
「来ないで!」
泣き叫ぶ母娘の下に黒いスーツを着た男がやってきます。悪いニュースを伝えるのが彼の仕事。危険なテストパイロットの夫を待つ母娘の元に彼が来る。それがどういう意味なのかは妻たちは良く知っています。
紹介されている「The Rigiht Stuff」は僕の大好きな映画のひとつです。
The Right Sthuff 正しい資質を持った者たち、という意味で、国家の威信がかかった宇宙開発計画の飛行士として、選ばれたエリートたちの史実に基づくストーリーです。
僕のブログでも以前紹介させてもらいました。
そして立花隆の「宇宙からの帰還」という著作があります。「The Right Stuff」のマーキュリー計画に続くアポロ計画にまつわる宇宙飛行士たちの帰還後のそれからをテーマにしています。
あまりに困難な道を経て、たどり着いた宇宙から見た地球はこの上なく幻想的で美しく、その圧倒的な非日常体験はその後の生き方に大きく影響を及ぼします。
死の淵から帰還したような体験は、物質主義、国家主義、宗教の不毛さを悟り、絶対的真理にたどり着いてしまうのでしょうか。
「宇宙に神はいなかった」
これはロシアの話になりますが、人類初の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンはこんな風に揶揄しました。以下のエピソードからきているそうです。
宇宙から帰還したガガーリンの歓迎パーティにロシア正教のモスクワ総主教アレクシー1世が列席しており、ガガーリンに尋ねた。
- 総主教「宇宙を飛んでいたとき、神の姿を見ただろうか。」
- ガガーリン「見えませんでした。」
- 総主教「わが息子よ、神の姿が見えなかったことは自分の胸だけに収めておくように。」
しばらくしてフルシチョフがガガーリンに同じことを尋ねた。総主教との約束を思い出したガガーリンはさきほどとは違うことを答えた。
一方宇宙飛行士にはならなかった、チャックイェーガーはこんな言葉を残している。あくまでも現実主義者として厳しく生き続けました。
“The real barrier wasn't in the sky,
but in our knowledge and experience of supersonic flight.”
「本当の壁は空にはなかった。
超音速飛行に関する私たちの知識や経験の中に壁はあったのだ。」
第118回:“The real barrier wasn't in the sky.”―「本当の壁は空にはなかった」(チャック・イエーガー): ジム佐伯のEnglish Maxims