Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

ブログを焼く

―飛行機は悪天候のため実に四時間も遅れて、そのあいだ僕はコーヒー・ルームで村上春樹の短篇集を読んでいた―

「ブログを焼く」そんな奇妙なタイトルのストーリーがあった。

自称ライターで細々とやっている僕の、ガールフレンドが新しいボーイフレンドを連れて、長い旅行から帰ってきた。しかも外国人である。

彼と色々と話をしていくうちに、彼は時々ブログを燃やすのだという。

誰もが気に留めなくなった、承認欲求に飢えた孤独なブログの火種に、ガソリンをかけるように炎上させるのだという。ふた月にひとつぐらいのペースで。そして野次馬としてブログが燃え尽きるのを見届けるのだという。

この話を聞いた僕は、その日以来取り憑かれたように、何か承認欲求に飢えて火種を抱えるようなブログをチェックしまくった。くまなく執拗に。

でもイケダハヤトの自らの放火による炎上以外、何事も起こらなかった。

何か月かたったある日彼に偶然出会った。
「あれからくまなく毎日色んなブログをチェックしたけど、炎上らしい炎上はなかったよ」

「いや、燃やしたよ。女性の痴漢被害を蔑視したような火種で、簡単に炎上して散ったよ。
きっとあまりに近すぎて気がつかなかったんだよ。
それと彼女と連絡がとれなくなってしまったんだ」

参照
村上春樹 「螢・納屋を焼く・その他短編集」
散るろぐ「痴漢されない女の子の特徴」





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