ヤツだ。
小中のクラスメイトで、優れたスキルを闇を真っ直ぐに歩くために活かしてきた。制御できない暴走列車のエネルギーは誰にもコントロールできない。
頭の回転がいいから話は実に面白く、また巧みなコントロール下にあり、まるで週刊現代や週刊文春をコンビニで立ち読み しているかのような感じだ。
ヤツとは久しぶりだ。いつも何故か人生の節目のようなタイミングに出会う。前回会ったのは5.6年前のファミリーレストラン。気配を感じ対角の席を見るとヤツが手を振っている。ちなみに風貌はというとまさに偉丈夫。大太刀を振り回す戦国武将のような佇まいで、竹内力と並んで立っても引けを取らないだろう。
我々の席にやってきて中学生の息子に話をした。
「いいか?勉強をしろ。学がないと人生話にならないぞ。」
学校の先生が諭すのとは次元が違う説得力だ。
昨晩彼とは近況と昔話をした。相変わらず並外れた記憶力だしストーリーテラーだ。
「なんでバイク屋をやっている?」
そう問われた。
彼は僕のサラリーマン時代も知っている。
「何でって色々あるけど、偶然のめぐり合わせや流れが大きいよ。マルマル君だってそうだろ?」
彼はコンマ5秒考えて嬉しそうに笑った。
「こうなれたらという漠然としたイメージはあったけど、特に強い動機じゃない。機会があっただけで導かれたようなもん。そういうことだろ?」
その通り。