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Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

ARROW 3

ARROW 少年

こっちへ向ってボールを追って駆け出してきた子供がいる。そのビニール製のボールを、ノートラップで蹴り返した。

ARROW 2 - Toujours beaucoup

 

ボールを蹴り返す前に子供を観察し瞬時に判断して最適なボールを出す。

 色白で茶系のさらさらの髪、クリっとした目にちょっと上を向いた鼻の、やせぽっちのもやし君。写真で見た子供のころの自分みたいだ。

 軽く上げたボールはツーバンして彼の下へ転がって行った。彼もそれを蹴り返してきた。パス練習のようになりその距離が縮まっていく。いったんすれ違って今度はそれが広がっていった。振り返って止まり、何回かパスのやり取りをする。

とにかくひたむき。でもサッカーが好きとかうまくなりたい、という風ではなく、ボールに集中する事が楽しい、そんな風だ。

ボールのトラップと蹴り方をアドバイスする。

冬の朝のつらいサッカーの練習を思い出した。とにかく痛かった。

小6の時に沖縄から内地に転校してきて、あまりに異なる環境のために少し機能停止しかけた僕を、担任が顧問をしていたサッカー部に半強制的に入れさせた。

無心にボールを蹴るのは楽しかった。朝も早いし夜も疲れているから、よけいな事に悩む間もなく寝入ってしまう。担任は少しづつハードルを上げてくる。攻撃の要となるセンターフォワードをやらせたり。これはかなり荷が重く、だって南の島からきたチビのもやし君が、いきなりそのゲームのリーダーをやらなければならない。ともしび大学を出て海外勤務になった新人が、いきなりエリート部下を抱えてチームリーダーになるようなもんである。

 

「おじさんはママのともだち?」

天才ミッドフィルダーの予測不能な未来へのパスように、彼が話しかけてきた。

 

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