Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

 

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名店見学による社会勉強という、自己を合理化する名目でラーメンを食べに行ってきた。ここらで評判の、おそらく地域一番店との誉れ高いお店。

住宅街のどちらかというと、ひっそりとしたロケーションにそのお店はあった。キチンとした和食屋か鮨屋のような佇まい。街道沿いの間口の広いラーメン店のようにL字のカウンター席のみ。五十代ぐらいのご夫婦と思われる男女で切り盛りされている。

風水的な理由でもあるのかトリッキーな位置の入口の外にはウェイティング用の椅子がならんでいる。行列店らしいがタイミング良く座ることができた。繁忙店らしく両隅からきっちりと駒を並べるように座らされる。
実はこの時、少しひっかかる何かがあった。忙殺がゆえに機械的でコミュニケーションを避けているような接客スタイル。たまたまだったのかもしれないけど、他のお客さんは信仰深く神経質そうなイエスマン風が数人と、グルメ本を見てきました的なカップル。

一言でいうと生気がない雰囲気。

口元にほんの少し笑みを残し儀式のように礼儀正しくラーメンを待つお客さんと、ひそひそとメニューを選ぶカップル。店内にあるマナーやルールを喚起する張り紙も、あまり気分のいいものではない。

中華そばに1択ではあったが通過儀礼的におすすめを聞いてみた。するとこちらの問いかけが終わる前に蓋をするかのように早口で3種のメニューを説明してくれた。プレゼンではない。

「中華そばチャーシュー増し」

待っている間にとなりの男性のラーメンが出てきた。教祖様にお許しを乞い儀式を始めるかのように、有り難く頂かせてもらいますというスタイルを全面に出し丁寧に食べだした。

やれやれ 。

しばらくすると自分の中華そばが出来上がってきた。
確かに美味しい。しっかりとした食感のある細麺に、出汁のアピールは控えめでそれでいて切れ味のするどい醤油味のスープ。魚介系の出汁をほんのりと感じさせるスープと黄色いちじれ中細麺を予想していたので意外でもあった。

ていねいに手間をかけて作られたであろう焼豚はスープの味を変えたくないのかアッサリとした存在。卒業アルバムの「こんなやついたっけ?」そんな存在感。

スープ全飲みまで一気に平らげたがスープはぬる目で汗ひとつでない。これは意識的なのかもしれなスタイリッシュでクリーンな店内に、あっさり味とぬる目のスープで汗を拭いながら食べなくてもいいように。薬味も胡椒のみ。お店と味もふくめて、とても上品で美味しくデートにも対応可。繁盛しているのもわかる。

でも自分には主張が足りないというか少しだけ合わなかった。

最後に一点だけ。
我々の仕事もそうだけど、作り手のメンタルは作品に出る。飲食もそうだと思う。美味しいけど何か生気が感じられないような味は、ひょっとして作り手のメンタルの影響なのかなと邪推してしまった。

とてもいいお店なだけに正直に書きました。どーでもいいお店ならこんな長文書かないです。でもごめんなさい。

ごちそうさまでした。

 追記

知り合いのラーメン屋、つまりプロがこう評していた。ラーメンを追究し続けている男だ。

「◯◯(このお店)は3回通って3回とも同じ味だった。あーそういうことね、って思った。」

らしい。ラーメンというのは味の再現性が難しくブレがあるので、味を判断するのに3回は通うそうだ。

つまりこのお店は、味の再現性にこだわる精密な味ということになるのかな。

分かるような気がする。

 

 

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