Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

あれから二年

 風は強いが気温は上がり、春の到来が本物である事を感じさせる完璧な一日だった。 くっきりとした影が長くなってきたコンビニの駐車場。ここらのスーパーではお目にかかれないような(おそらく東京行き)、網袋がはち切れんばかりに詰まった、大粒ぞろいのアサリが普通トラックの荷台に満載されていた。磯の香りがする。

 7-11から出てきた男は潮風に曝されてグッタリとなったヤッケの上下に漁師特有の濃銅色の肌。一目で彼がトラックの運転手だと判別できた。彼は実に旨そうにアメリカンドッグを齧りながらトラックへ向かう。その完璧な労働を終えたであろう充実感が純粋に羨ましくみえた。

 深い緑色のジャングルが、溶鉱炉をひっくり返したようなオレンジ色のナパームの炎に舐め尽くされている。地平線まで焼き尽くすかのように執拗に。 黒に近いジャングルの緑とナパームのオレンジ色の炎と渦巻く真っ黒い煙はまるで補色調和のようだ。幼い頃目に焼き付いたベトナムの業火。

 そして2011年3月11日
 希望のあるなしに関わらず人々は春の到来を明確に意識し始めたころだ。TV画面では防風林が、どす黒い色をした津波に次々と完膚無きまででに舐め尽くされていく。それはジャングルを焼き討ちにするナパームを思い出させた。

 あれから二年。東北のかの地ではアサリ漁の彼のような、一日の締めくくりを迎える事が出来ているのであろうか?

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