1983年初秋
ヤマハの50ccのメッキのヘッドライトカバーに、透き通るような青空と綿雲が、流れるように描き出されていた。青空のプラネタリウムがそこにあった。
2011年のある初秋の朝、あの日あの時のような天気が広がっていた。村々や田畑、森たちの通りすぎる景色も何ら変わりなかった。良く見ると時の流れにより退廃した建物も多い。
山々へ向って真っ直ぐ伸びる道。ねずみ色のアスファルト。オレンジ色のセンターラインと途切れ途切れの白い路側帯。両側に広がる鮮やかな緑色の田畑と森。風化しつつある村。そして真っ白な雲を散りばめたような、抜けるような青い空。
タイムスリップしたようなひと時だった。