Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

学問のすすめ

 茂木健一郎さんの9/18の朝の連続ツイート。http://bit.ly/ngqXA6「諦めるな」という反応。

 感じたのは「学問のすすめ」にあるように、極端な言い方をすれば「無能な国家の下には無能な民の存在がある」ということ。それを端的に表したのが現在の姿。

 結局各々が啓発して魔球は投げられずとも持ち玉を磨いていくことが、民意となり国家を導いていくと思う。ところが現在の状況は権利意識は強い割には自分のケツを自分で拭けない民の巣窟のよう。こういった歪(いびつ)な状態も「学問のすすめ」では言及している。

 何十年かぶりに再読している「学問のすすめ」今の世にも全く色あせておらず、生きるための答え合わせには最適な一冊だった。ところが「学問のすすめ」を最初に読んだ10代の頃は、若さ故の偏狭な正義感のようなもののために受け入れることが出来なかった。福沢諭吉が説いた「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という有名な言葉。実際には人間は生まれつき不公平に造られている現実との乖離が許せなかった。でも結局のところその矛盾について説いているのが「学問のすすめ」だった。

 なぜ今更「学問のすすめ」かというと、娘が買ってきて放り出したのがブーメランのように僕の目の前に戻ってきた。それを手に取ることにより基本的なものの見方を再考することができた。書店に並んでいる啓発本の物足りなさの理由も分かったような気がする。音楽でも芸術でも時の流れに翻弄され生き残った古典はシンプルでいい。