Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

少年

愚有性との邂逅

1995年のある日。聞いたことのないレシプロエンジンの叫びが空から聞こえた。コントロールされていない粗削りで重たい鉄球のような排気音。 見上げると、仔羊のようなセスナ機を露払いに、西へ向かうその単発のレシプロ機は「零戦」だった。操縦法まで学んだ…

ぷーさんの心の旅

くまのプーさん 幼少期の夢の中の彷徨いを、擬人化したクマとその仲間たちでファンタジーに仕立て上げた物語。 1960年代後半、世間はかなり物騒でしたが岩波少年文庫では、まぬけでドジなプーの日々の暮らしが、手のひらの上に点した幸せのように描かれてい…

40年の不在

40年ぶりに幼少期を過ごした岐阜の街を訪れた。 鵜飼で有名な大河を基軸とする街。 40年の間にどれくらいの水が流れたのだろう。 ずいぶんと街は変わっていた。 足の赴くままに彷徨いながら、その頃のテリトリーに近づいていった。 地図はいらない。その頃の…

夜の底

酷く疲れていた目が覚めた時重力が倍になったように身体が重かった視力を失ったかのように真っ暗闇だった長い夢は思い出せない気分は最悪だ身体は覚醒しているようだ夜間飛行の彷徨いの末燃料が尽きた砂漠に不時着し意識を取り戻した時こんな気分なんだろう…

1972

1972年の今頃札幌で日本発の冬季オリンピックが開催されて、ガキんちょの自分はその当時岐阜に住んでいた。 その頃世界はとってもアナログで、アナログな長屋スタイルの借家に住み、アナログな近所付き合いのとなりの看護婦のお姉さんの家で、アナログテレビ…

空の夢 ~さすらい~

現実と見分けのつかない考え事をしているような夢で目が覚めることがよくある。もう少年の頃のように覚醒できない。 少年時代は目を閉じていても覚醒し、暗黒の闇の中に鮮やかな色彩が止めどもなく渦巻く激流の中を流され続ける。目を開けると遥かな蒼空をシ…

カルピスのCMは嘘つかない

暴力的な夏の日差しのせいで、校舎の渡り廊下の下に入ると真っ暗な闇となり何も見えなくなった。しばしの眩みから気がつくともう夏休みの誰もいないはずの飲み場の奥に誰かいる。ジャージ姿の女子がしゃくりあげるように泣いていた。上級生のたったひとりだ…

光の世界への階段

アフターバーナーの炎と空気を切り裂く破裂音。ジュラルミンに反射する夏の光。ガソリンとセメダインの臭い。空を飛ぶってこういう感覚なんだ。初めてバイクのアクセルを開けた瞬間にそう感じた。少年の頃好きだった物はいたってシンプルだった。 社会のスト…

せやな

自分探しなんてやめたらええねん。なんぼ追いかけたかって、自分の背中なんて絶対見えへん。そんなんやったら店でキンチョール探す方が絶対ええ。おっちゃん、最近な、先週かな? そのことに気付いてん。 松本人志

ある冬の午後

河口にほど近い汽水域の河川敷に車を停めた。川幅は100m近くあるだろうか。午後の冬の川の暗く冷たい水はアウシュビッツに向かう貨物列車を連想させた。 浮上した鯨の背中のような一時の中洲に小舟が斜めに横たわっていた。しばらくして陽が落ちる時間には小…

Fighter

闘鶏マニー・パッキャオ。6階級制覇の稀代の王者で愛称はパックマンだ。 故郷を支えるために命を捧げる覚悟で戦ってきた。 宿命のライバル、挑戦者ヒスパニックの英雄マルケスとの世紀の大勝負。挑戦者は勝つために必要な全ての事は執拗なまでに追及し機も熟…

喝采2005

40代に入ってしばらくした頃、高校を卒業してからずっと音沙汰の無かった友人、いや友人の親から報せが来た。おまけに黒い縁取りがしてあった。ちあきなおみの「喝采」じゃないんだから勘弁してくれよと思った。 盛岡から在来線で2時間。知り合いは誰もおら…

具志堅さんは今でもヒーローだ

南の島のヒーロー具志堅さんはフラフラだった。 もうお終いなのは判った。精神力だけで闘っていた。涙が止め処もなく溢れた。そしてタオルが具志堅さんに投げられた。「もういいんだよ。十分だ」そんな意味だったのか。 防衛を繰り返す度に具志堅さんが肉体…

Excuseはダメよ

風呂に入りながら総括とか展望を考えたけどやはりシンプルにいくしかない。 決めたらやる。弱音ははかない。愚痴は言わない。言い訳はしない。 この年になるとなかなか怒ってくれる人はいない。親ですら。陰口を叩き文句を垂れるものは増える一方なのに。 今…

Paradise ColdPlay

Paradise - Coldplay When she was just a girl She inspected the world But it flew away from her reach So she ran away in her sleep Dreamed of para- para- paradise Para- para- paradise Para- para- paradise Every time she closed her eyes Whoa…

この先立ち入るべからず

彼女の家は袋小路のような一画にあった。 この先行き止まり そんな注意を促す看板が所々にあった。注意しないと元に戻れなくなる 彼女の事はもちろん大好きだった。愛していた。 その気持ちはどんどん大きくなっていった。彼女の一番の魅力はストレートに喜…

Both Sides Now 青春の光と影

光があるところには影がある。 影があるところには光がある。 そして光のある世界と影の闇のような世界がある。 君は光のある世界で生きていくべき人間だ。 その資質があると思う。 ところが今きみは事情があって影の世界にいる。 いや境目かもしれない。 光…

Don't Look Back In Anger oasis

珈琲の味

鈴の音を聞きながらドアを開けると、カウンターの奥のステレオタイプのお山の大将がよそ者を一瞥した。 30年ぶりに老舗の喫茶店を訪れた。駅前アーケードビルの2階にどちらかというとひっそりと存在している。アーケードの商店は30年も経つとすっかり入れ代…

想い

捜しものは見つけ難いものだったのか。 這いつくばって這いつくばって一体何を捜してきたのか。 最近色々な気付きがある。捜すのをやめたおかげかもしれない。 父は高度成長の波に乗りサラリーマンとしては成功したほうだろう。付き合いも広く様々な人に頼ら…

走りながら考えること

もともとそういうところはあるのだけど、しばらく無気力ともとれる醒めた日々を送ってきた。閉塞しているかもしれない真っ暗闇の長いトンネルをやっと抜け、次のステップへの充電のような期間が必要だった。それが数年前のことだ。 昨年辺りから、ちょうどこ…

R.E.M - Losing My Religion 日本語訳

Losing my religion 米国南部の表現で「堪忍袋の緒が切れる」または「崖っぷちで万策尽きて」という意味らしいです。 Oh, life is bigger It's bigger than you やれやれ 人生はもっと大きいんだよ 君なんかよりずっと大きいAnd you are not me The lengths …

悪魔は突然

「現場付近は潮の流れが速く水温も低かったそうです…」 ベテランの女性アナウンサーが詞を読むかのように伝えた。「あなたには運がなかったのよ。ほんの少しね。残念だわ…」 そんな風にニュースは聴こえた。 四国北条市。岸壁から飛び込みをしていた中学生グ…

神々の糧

いくつもの命の火が消えるのを見守ってきた。深いしわの中に隠れた彼の目は、まるで厳しい冬の大河を見つめているようだった。レースに人生を捧げたドクター・コスタ医師は、次のように言う。 「ああ言う若者が亡くなると、とことん辛いものです。深く考えさ…

夢枕

夢の中にカルロス・ゴーンさんが出てきた。指を2本、3本と出して「ニッ サーン!」なんてふざけていた。そして「イッパイ タベテクダサーイ奇怪な生物が多種入った水槽をプレゼントしてくれた。どういうことだ?(笑) ゴーンさんはじめ、色々な人が出てきて…

冬の道場

「立てい!A!」 それは違うよ…と呟いた言葉に模範演技をした教師が激昂した。高校での柔道の授業。引き摺り出されたAはボロ雑巾のように何度も投げられ叩きつけられた。見せしめの私刑。動機はプライドを傷付けられた事によるヒステリー衝動だ。まあそれ…

幸福量保存の法則

一般相対性理論の解として幸福や不幸は膨張または収縮をしているという結論が得られ、特殊相対性理論では、幸福、不幸、同時性といった概念は、自己の価値観によって異なる相対的なものであり、唯一不変なものは誕生の臧否のみであるとした。

夜の彷徨

少年の頃、真夜中に目が覚め、全てが眠ったかのような静寂のなかに覚醒し時計が時を刻む音に支配される。そんな時遠くから 貨物列車の通過音が微かに届いてくる。 そんな取り返しのつかないあの頃の空っぽさが心に刻まれてる。 真夜中の心の彷徨いは純粋で儚…

戸塚ヨットスクール

戸塚ヨットスクールへ中学の頃通っていたことがある。 でも問題があったわけじゃない。その頃はヤマハとタイアップしてオリンピックセイラーを養成しようという、ヤマハマリーナ浜名湖でのヨットスクールだった。 堀江謙一の「太平洋ひとりぼっち」「単独無…

ゆっくりと流れる時間

娘が小学校に上がった頃。僕の仕事場へ帰ってくる通学路は一本道。 遠くから娘が歩いてくるのを見ていた。道端の草花を1本1本座って見ている。 まるで時が止まっているかのように。それに接した時に、もう取り返しがつかないくらい遠くへきた気分になった。