Toujours beaucoup

いつまでもたくさん

welcome to slow air

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休日やっと晴れた秋の午後にセシルさんとドライブしてきました。

セシルさんとはプジョーの206CCのこと。

Bonjour Tristesse - Toujours beaucoup


人生初のオープンカーなんですが、こんに気持ちの良い乗り物だとは。
 
心地良い風と空の明るさからくる格別な開放感。

バイクだとヘルメットがあるのでこんな開放感は得られないし、ノーヘルだと逆に過度な空気感。

ハイクって風を感じてとかポジティブに表現されるけど、実際には風ではなく風圧でストレスでしかないし暑かったり寒かったり、おまけに危ない。

でもそれを克服したり挑戦したことによる達成感がバイクの魅力なんだけど。
あとはスピードと競争。

ちょっとハードに感じていた足回りも、ワインディングロードに入ってペースを上げ荷重がかかると、グイグイ曲がって楽しめる。

浜名湖畔のいつもはランニングしているルートを、また異なる目線で楽しめて良い休日でした。

 

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you know everything feels unfair

youtu.be

Wonderful Life - Black

1987年の名曲

中原中也の詩の世界のような歌詞。

ビデオも良くマッチしている。

私はもう歌なぞ歌わない
誰が歌なぞ歌うものか

みんな歌なぞ聴いてはいない
聴いてるようなふりだけはする

みんなただ冷たい心を持っていて
歌なぞどうだったってかまわないのだ

それなのに聴いてるようなふりはする
そして盛んに拍手を送る

拍手を送るからもう一つ歌おうとすると
もう沢山といった顔

私はもう歌なぞ歌わない
こんな御都合な世の中に歌なぞ歌わない

1935 中原中也 ー詩人は辛いー

 

Wonderful Life - Black 

Here I go out to sea again
The sunshine fills my hair
And dreams hang in the air

Gulls in the sky and in my blue eyes  
You know it feels unfair
There's magic everywhere

Look at me standing
Here on my own again
Up straight in the sunshine

No need to run and hide
It's a wonderful, wonderful life
No need to run and hide
It's a wonderful, wonderful life

Sun in your eyes
The heat is in your hair
They seem to hate you
Because you're there

And I need a friend
Oh, I need a friend
To make me happy
Not stand here on my own

Look at me standing
Here on my own again
Up straight in the sunshine

No need to laugh and cry
It's a wonderful, wonderful life
No need to laugh and cry
It's a wonderful, wonderful life

I need a friend
Oh, I need friend
To make me happy
Not so alone

Look at me here
Here on my own again
Up straight in the sunshine

No need to run and hide
It's a wonderful, wonderful life
No need to laugh and cry
It's a wonderful, wonderful life

No need to run and hide
It's a wonderful, wonderful life
No need to run and hide
It's a wonderful, wonderful life

It's a wonderful life
wonderful life
 

 

My Darling Clementine

youtubeの視聴者の嗜好を分析してマッチングさせる機能はすごくて、例えばちょっと気になった曲を聴きこむと、似た嗜好の曲がどんどん関連した動画として並んできて、終いにはリスト化されてホーム画面に並べられる。

おまえは俺か?

ホーム画面のリストを見ていると感心してしまう。

先日紹介したStill Cornersのビデオ

旅の終わりに Still Corners -The Trip - Toujours beaucoup

夜明けの布団の国への旅へのお伴に、Dream Popと名付けられたこの流れの動画を連続再生していた。

Mazzy Starが続いてきたのには納得だけど、その中で耳に残ったのがこの曲。

シンプルだけど何かを訴えかけるような鎮魂歌のような曲。

過去を鎮魂しているのか

過ぎたことを恨んでどうする

あらゆるものは通り過ぎる

I wish my name was Clementine

Clementine ?

どうやら映画『荒野の決闘』のメインテーマになった曲で、ゴールドラッシュのさなか水難事故で失った恋人を想うアメリカの西部民謡からきているらしい。

 

My Darling Clementine (いとしのクレメンタイン)

My Darling Clementine - いとしのクレメインタイン (荒野の決闘) - YouTube

 

 ちなみに I wish my をI was smileと空耳していたのは内緒だ。

 

youtu.be

 

Sarah Jaffe-Clementine

50 states

50 lines

50 crying all the time's

50 boys

50 lies 50 I'm gonna change my mind's

I changed my mind

I changed my mind

Now I'm feeling different

We were young

We were young

We were young, we didn't care Is it gone? Is it gone?

Is it floating in the air?

I changed my mind

I changed my mind

Now I'm feeling different

All that time wasted

I wish I was a little more delicate

I wish my

I wish my

I wish my

I wish my

I wish my name was Clementine

 

Bonjour Tristesse

知り合いからプジョーの206CCを譲ってもらうことになりまして。

 

人生初のオープンカーでおまけにフランス車。

なんというか日本車とかドイツ車とは全く別の乗り物。

かといって底の抜けたバケツのような伝統的なアメリカ車や、もう身を捧げたくなるようなイタリア車とも違う。イギリス車はちょっと皮肉っさを秘めているというか。

プジョー206CCは、良くも悪くもB型国家のフランス的というかおバカ。

 

雰囲気があってスタイルも最高なんだけど、性格悪いしツッコミどころ満載だし自己主張も強くて、もう思いっきり振り回されています。

 

悲しみよこんにちは Bonjour Tristesse』

サガンが描いた幸薄げな美しい少女セシルにちなんでセシルと命名するべき?

 

どうなることやら。

 

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旅の終わりに Still Corners -The Trip

youtu.be

Still Corners -The Trip

このビデオはまるで遠い少年時代の記憶のようで非日常を感じさせてくれて何回も見ている。

1970年代の8ミリフィルムと思われる映像はアメリカが舞台で、日本人の僕が少年時代の郷愁を感じるのはおかしいのかもしれない。

でもそれは僕が1970年代に少年時代を過ごした沖縄に似た雰囲気を感じるからだろう。1972年にアメリカから返還されたばかりの沖縄はアメリカ文化が色濃く存在していて、沖縄独特の白っぽいアスファルトと海風に曝された風土は、このミュージックビデオに空気感が似ている。

自分自身というものは、子供時代の体験が化学式のように組み合わさった産物なのであろう。

 

Time has come to go
Pack your bags, hit the open road
Our hearts just won't die
It's the trip keeps us alive

So many miles 

So many miles 

So many miles 

So many miles
Away

They're following some dance of light
Tearing into the night
Watching you fall asleep
The sweetest dove in the dream

So many miles 

So many miles 

So many miles 

So many miles

away

 

Still Corners

ロンドンのバンドで、ささやくようなヴォーカルとサイケデリックでシネマのようなサウンドは、エンニオ・モリコーネのようでもあり、ドリームポップと称されているらしい。

ドリームポップ、たしかにそうかもしれない。

So many miles Away・・・というのが実に良い

 

 

 

夢の中へ

母方の広島の実家に居た。

大戦時に大陸出征の一大拠点となった宇品港と、東洋工業マツダ)の間の丹那の小さな港と黄金山の崖に挟まれた細長い旧市街にある。

祖父が運転する車に乗って出かけた。

大陸に大戦に出征しシベリア抑留から生き延びてきた祖父はもうかなりの歳になる。運転は大丈夫だろうか。

助手席に僕を乗せ、祖父は丹那の狭い路地を、まるで獣道を駆け抜けるように飛ばしていく。

生垣と電柱の峡谷が迫る。祖父は全く速度を緩めない。

絶対に無理だ!ミラーをヒットする。

身を固くするが、祖父はまるで魔法のようにすり抜ける。

凄いテックニックだ。

でもあまりに無謀だ。

祖父が運転の達人なのは知っているが、もう歳も歳だ。動物的直感だけで運転しているのだろうか。

海沿いの新道を横切って丹那港へ出るが、その交差点も祖父は全く速度を落とさずに一目散に駆け抜ける。

え?こっちの方が優先?

振り向いて確認すると、こちら側に「止まれ」とペイントしてあった。

祖父は毎日こんな調子で、ロシアンルーレットのような運転をしているのか?

 

おいちょっと待て。

祖父はもう亡くなっているはずだぞ。生きていたとしてもありえない歳になってるぞ。なんで死んだはずの祖父の傍らに僕がいるのだ?

ひょっとして・・・・

 

のばした手に何かがふれた。それをつまんで指でつぶした。しばらくそこに横になったまま、指先に触れるものを探った。ゆっくりと目を開けて指先を見やると、自分が何か白いものをいじっているのがわかった。シーツの端だ。それがシーツであることは、素材の手ざわりや糊のきき具合でわかった。固く目を閉じ、またすぐに開ける。

どこかで空気が漏れているようなシューという音が聞こえる。かすかに電子音のような気配も感じる。身体は上に像が乗っかっているような重苦しさがある。

 

ここは病院なんだ。一体何が起こったんだ。何をやらかしたんだ。

何も覚えていない。しかし酸素マスクをつけ身体を拘束されて病院のベッドに横たわっているのは事実だ。

 

枕に頭をのせて仰向けのまま天井を眺めながら、何が起こったのだろうと考えた。

そして祖父のことを思い出した。

 

夢だったのだ。

 

前のバイクが急に身体を起こしたんだ。

スリップストリームに入って最高速へ向け加速していた。ネコのように丸くなりぴったりを身体を伏せ、肘、膝、つま先もピタリと格納する。

前方の視界はメーター越しにかすかに見える前方視界だけだ。

 

前方のバイクの直後は蝋燭の炎のような形で風圧の影となり、風圧が低減されて吸い寄せられるようについていける。「スリップストリーム」「ドラフト」といい、これを利用して前者をパスしたり、馬力に勝るバイクに引っ張ってもらったりする。集団のスリップになるとさらに大きな効果になり、単独に走るよりはるかに速く走ることが出来る。

特に馬力の小さいバイクでは顕著で、トップグループはお互いに集団スリップで速いペースをキープしてレースタイムを短縮していく。1周のタイムではなく、スタートからチェッカーまでのレースタイムが一番速いものが優勝だ。

スリップを利用して前者を抜くのにもやり方がある。

ただ引っ張ってもらってストレートエンドで横に出ても、スリップから出た瞬間に大きな風圧となりそこから加速できない。

セーブして車間を開けて3車身ぐらい後ろで引っ張ってもらい、スリップから出るタイミングに合わせて加速して行って、斜めにカットするように前車のスリップの壁を切っていくと前車を確実にパスするか並ぶことができる。

斜めにカットすることでタイヤの外径差でエンジン回転をあげ、強い風圧のスリップの壁をクリアするのである。

そのまさにスリップから出ようとする瞬間に、前のバイクが急に身体を起こしてこちら行く先を塞いできた。

もう考えている猶予はない。追突を回避するために反対へ逃げようとした。

その瞬間に別のバイクが現れた・・・・

 

あとで聞いた話によると、ストレート後半の最高速付近で、ラインを外しておそらく慣らしでスロー走行していたバイクが、急にレコードライン(つまり我々の前を塞ぐように)に入って来て、僕の前のバイクは寸でのところ回避したが、僕は回避しながら飛び出してきたバイクに斜めに激突したようである。

 

脳震盪と全身打撲でしばらく眠っていたらしい。

幸い骨折はないようだし、胸も潰していなかったようである。

危なかった。

 

祖父とは一言も会話をしなかった。

つまり夢の中での祖父のスリリングな運転は、まさに僕がしていることだったのだろう。そして祖父の強運は僕の強運でもあったのだ。

 

気をつけろ。

自分が何をしているのかよく考えろ。

運はいつか落ちる。

ラストラップ

一昨日の月曜に父親が退院するというので、実家に寄って母親をピックアップして病院まで迎えに行ってきました。

 

病室に入るともう片付いて何もない空間に、父親がまるで自失した人のようにポツンとひとり座っています。

 

「忙しいんだったら帰っていいぞ!タクシーで帰れる!」

 

同い年の石原慎太郎みたいに開口一番切れだしてしまいました。

 

朝から片付けて待っているんだけど、やることもなくてな!!

 

昼前ぐらいに来てくれれば、と言われていたのですが、どうやらそれは朝一にこいや、という事だったのですね。

 

末期がんのファーストステージでもう癌治療もやめ経過観察しながら、痛み止めを薬を服用しているだけなので、入院する意味もないということで、つまり追い出されたのです。

 

見たこともあるのですが病院飯も悲惨で、まるで貧乏な昭和のころの学校給食みたいで、そりゃ出たくなる気持ちもわかります。元来クレーマー気味の気質で、正論という刃物を振り回してきた典型的な高度成長時代人ですからまわりも大変なのです。

 

迎えに来た人に返す刀で帰れとはなかなかやりおる。

 

まあなんとか父親をいなしまして、清算と持ち帰りのクスリの説明を看護師からうけ退室です。

どこかで昼飯を食べたいというので、うどん好きな父親のことだから、僕的には一番好きな東京庵の本店に行こうか?といったらムスっとして黙ってしまいました。

そして

 

俺はブロンコビリーへ行きたいんだ!!!
俺はブロンコビリーのステーキが食べたいんだ!!!

 

まさかのブロンコビリー展開に驚きました。
食欲無いとか食べられないとかいってたのにステーキです。

 

ランチタイムのブロンコビリーでは20分ほど待たされ、短気な父親がまたブチ切れるじゃないかと冷や冷やしていましたが、無言のままグッと堪えていました。偉いぞ。

 

父親はランチステーキセットを完食し美味い美味いと言っています。

 

個人的には、学生時代にひと夏のバイトをした成田空港の東京フライトキッチンの、時々つまみ食いした機内食用のステーキ肉にそっくりな味で、ある意味懐かしい味でしたが、まあそんなにうまいもんじゃありません。

 

想い出フィルターにかけた父親の喜びそうな話を丹念に抽出しながらの小一時間のランチタイム。

 

時々店員にもモラハラぎりぎりまで絡み、中国人みたいに食べ散らかした隣のテーブルのファミリーに文句を言ったりしています。

 

周回遅れとなった父親が自分の前に現れてくるのは感慨深いものがあり、またその周回遅れが綺麗にラップさせてくれないのも、人生の深淵に立ったようで襟を正すような思いなのです。

 

父親はもうまともに動けないし、糖尿病も患っており味覚は麻痺して本当は味なんか分かんなかったと思します。合成麻薬系の痛み止め経皮薬も使用しているので、精神的もかなり苦しいは容易に予測できます。

 

それでも底の見えない死の淵を覗くところまで来たひとりの人間の矜持として、ラストラップをふらふらになりながら1つ1つコーナーをクリアしているのでしょう。

 

忠実なポスト員のひとりとして、ブルーフラッグは出せないな。