泡盛での門出
頼んであった冷蔵庫と洗濯機を受け取りに行ってきた。オーブンレンジを娘に選んでもらいたかったので、引越し先のレトロマンションへの入居から少し日が空いてしまった。
冷蔵庫と洗濯機は持ち帰りすれば、@5000円で10,000円値引きしてくれるというので気合いで運ぶ。洗濯機は知れていたが、さすがに娘の背丈ほどある冷蔵庫は持ちにくいは重たいわで「変な声」が出た。
日が落ちるころには諸々無事完了し早飯に。
グランドレトロマンションの玄関通路からの夕陽
娘と夕食に出かけた。徒歩で。
お目当てのすぐ近くのうどん屋は2軒とも定休日。
もう少し歩いたところにある、寿司屋、ラーメン屋か焼肉屋に向かったけど、途中で古民家を改造した酒房を発見して入ってみた。
月曜の宵の口でお店の人は、まだお客さんは来ないだろうと油断していたのか、心の準備が出来ていなかったようで、あたふたしていたのが可笑しかった。でも店主の人の良さが伝わってくる。そういうのは嗅覚でわかる。
立派な一枚板のカウンター席に座る。
カウンター越しに使い込んで淡い色合いになっているレトロな大きな黒板にメニューが所狭しとかいてある。
コロナビールと料理は「お任せ」で頼んでみた。
だけど「お任せ」は不得手なのか、結局黒板メニューの中からおすすめを誘導選択することになった。
ジャガイモとニンニクのオーブン焼き(たぶん)
ニンニクが皮ごとまるまる一房入っている豪快さで、とてもパンチがある。
味付けは黒胡椒と香草のみ。
レバーの黒胡椒炒め
レアで表面だけ炙ってあるようなイメージ。上質な黒胡椒とレバーとの相性が抜群でとても美味しかった。これは看板メニューのひとつのようだ。
二杯目は赤いラベルの泡盛をロックでお願いした。
飲みやすくマイルドな泡盛でアルコール度数も低く、まるで柔らかい水を味わうようで美味しかったのだけど、泡盛らしくなくちょっと寂しかった。
僕の中で泡盛といえば、40度オーバーで匂いもきつく、沖縄の硬水で味も尖っていて、流す汗でアルコールを飛ばしながら飲むというイメージがある。
テキーラに近いイメージ。
でも空調の効いたジャズが流れる店内で飲むなら、優しいこの泡盛の方がマッチしているのかもしれない。
「お任せ」が不得手なのかもしれない、と書いたが、店主はキチンを料理の修行をすることなくこのお店を始めて7年目だという。だから手の込んだメニューは少な目で、「お任せ」も不得手なのかもしれない。
でもお客をリスペクトする謙虚さと誠意が伝わってきて、「元気の押し売り」みたいな料理も実に共感が持てるもので気持ちが良かった。
画像は撮り損ねたが「砂肝のぺペロンティーノスパゲッティ」も頂いて、これもパワフルなガッツある味と盛りで(麵200gぐらいじゃないかな)、これは包んでもらった。
駅前から流れてくる単身者の男性客が多いらしく、ガテン系の味と盛りが好まれるらしい。包んでもらって持ち帰ったスパゲッティは、深夜に冷蔵庫から出して冷たいまま食べたけど2倍美味しくて嬉しくなった。
泡盛が二杯目に入るころ、中年のベタベタした見るからに不倫カップルが入って来て、居心地が悪くなってお暇した。
僕のワークショップの店名で領収書を切ってもらったのだけど、店主はつき合いを介して僕の店の噂を知っていたようで、なんか変なテンションになって盛り上がっていた。
ポジティブな噂で良かった。
この街は狭すぎる。
FLY SAFE
とても疲れていて
いや正確には、魂やメンタルは覚醒していているのだが、肉体能力の限界を超える寸前で、このままでは確実に肉体が壊れてしまう。
身体からのシグナルは危険領域に達しているこを警告している。
離婚することになり、別居に伴いレトロな6階建てのマンションの最上階に住むことになった。
娘とふたりで。
娘も来春には進路の結果がどうであれ自立してもらうから、近いうちにひとりで暮らすことになり必要最小限の住処である。
ここから見える遠くの山からの朝日はとても綺麗なのよ
マンションオーナーの老婦人の一言で決めた。他にもっと好条件の賃貸もあったのだが、この一言が決め手になった。
キッチンの窓からは夏の花火大会が見えそうだ。
うまいビールが飲めるといい。
離婚やら引越しは猛烈なエネルギーが要るので、億劫で憂鬱な気分になるのかと予想していた。
ところが心は晴れ渡りとてもポジティブな気分になった。
だが完全にオーバーワークのところにこれだから、文頭のように身体が壊れかけている。
Fly safe
エースパイロットの遺訓を唱えている。
それからはてなブログに少し辟易としていた。
障子を開けてみよ世界は広いぞ
大起業家の言葉を聞かせてあげたいし、魂の叫びのようなテキストに出逢えなくなってしまっていた。
もちろんこれは己の引き寄せの結果でもある。
でも久々に素敵な文章に会えた。
ピヨピヨさんはすごい。
賢こさと謙虚さ、そしてその深層が実に魅力的。
携えているだけで安心な良薬のようで嬉しい。
"Rendevous - C'était un Rendez-vous - 1976"
Rendevous - C'était un Rendez-vous - 1976 - YouTube
9分間の刹那
夜明けのパリの街をV12エンジンの咆哮が駆け抜ける。ワンテイク、ローアングルのスチール映像のわずか9分間の短編映画だが、映像からはドライバーの生きざま、パリの街の息遣いが伝わってくる。
一見するとアウトローの気の狂った暴走映像のようであるが、実は腕の確かなドライバーがマージンをもってドライビングしているのがわかる。しかも楽しんでいる。
V12エンジンのサウンドは、操作映像は一致しているがスピードは合っていないことからアテレコなのもわかる。
そんなことも感じながら観た。
後日メイキング映像もあることが判明し、答え合わせすることができた。
やはりブラインドの危ない場所は監視スタッフを立たせていたらしいし、実際の走行はメルセデスのセダンだった。パリ独特の石畳も含めたストリートにフィットしたサスペンション性能が理由らしく(カメラのブレを考慮して)、やはりローアングルにはかなりの拘りがあったという。実に興味深い。
C'était un rendez-vous - Lelouch - Making-of - English Subtitles
https://youtu.be/LDXFvtVlYcM
山師がいう
アポなしで僕のワークショップにやってきた40前後の男は、フレンドリーに機関銃を乱射しだした。
つまり存在を忘れた同級生のような演技でドアを開けさせて、にこやかに隙のない世間話から本題に入った。
潜在的マーケットの開拓、経営資源の活性化、組織運営の円滑化など事業のバリューアップをなりわいとする。コミュニケーションプロデュースと事業カウンセリングを行っているのだという。
「売り上げを倍増させてみせますよ。このお店にはポテンシャルがある」
その山師は僕の友人に紹介されてきたという。
「腕はあるがマネージメントとセルフプロデユースが下手くそでもったいないから何とかしてやってくれ、原石にもなるぞ」と、逸れた生徒を褒めるようなことをいい、「アポはとるな、絶対に断られるから」いわれアポなしで来たことを詫びた。
「余計なお世話だ」
僕の回答はこの7文字で表現できる。だが相手は、自分が何をしているのか何が起こっているかも分からないまま死んでいく新人パイロットではないから、逃げ出すまでドッグファイトをする必要がある。
そもそも紹介者は僕にとっては友人ではない。3番目ぐらいの引き出しの顧客である。
それをあたかも友人のようにつき合っているだけの話。飲みに行ったり、知的好奇心を満足させるトークから下ネタまで付き合ったり、24時間SNSの対応してみたり。
あくまでも「顧客の我侭や虚栄心を満足させる」営業活動の一環なのである。
僕のワークショップは乱雑であるし敷居の高い入り難さがある。
事務スペースはアインシュタインクラスの乱雑さである。
仕事の効率を上げるために、接客業でもあるのだし整理整頓せよと。そうすれば敷居も下がり仕事のロスも減り、良い連鎖で客層も向上するよと。
そんな経営指南も頻繁に頂く。
極めて正論でもあるしありがたいお話しでもある。
だが大きなお世話なのだ。
僕のワークショップは汚い。
だが、トイレだけはきれいである。工具箱の中は見事な整合性があり、必然が産みだしたハンドメイドの特殊工具類や収納ワゴン類の機能性は秀逸である。またその材料はレーシングマシン部材の端材であるから、ジェット戦闘機にも使用される最高級のアルミニウムやスチール類や複合素材やレアメタルなどである。
その価値を評価した一部のプロ顔負けの顧客の価値ある仕事が、売り上げのかなりの部分を占めているのである。そういった顧客は僕のお店が門戸を広げることを望まないし、経営指南もしないし山師を寄越したりもしない。
なぜ僕のワークショップこのようなスタイルなのか考えてください。
門戸を広げたとして、それに応えるコンテンツや体制を僕が用意できますか。
なぜこんな潰れそうなゴミみたいな個人店が20年以上続いていて、SEOを全くしていないのに特定ワードで検索上位にくるのですか。
そもそも、営業先をググらずに営業にくるなんて、冬の東部戦線に死にに行くようなもんじゃないですか。
ご提案頂いたことは100%ではないにしろ、全てチャレンジしてきました。それを経て現在のアナログ経営に帰着したのです。あなた方からそれが見えなかったとしても。
差別化とSNS対応。組織化して戦略的な経営をし原資を潤沢にする仕組みを作って、感動を創造し顧客満足させてその先には何があるのですか。あなたはそこでゴールテープをもって歓迎してくれるのですか。
でもあなたはこういうでしょう。
「いやゴールはもっと先にあるのです」
でも僕にとっての助言者や支援者そして友人は、マラソンを走る僕に道端で声援を送ってくれる観客や私設給水ポイントであってほしいのです。
疲れたら歩くし、走りたくなくなってやめるのを決めるのも自分自身なのです。
でも走り続けるのです。
光と闇の境目
鮮烈な夕陽に鮮明な夜明け
浮遊するような一番列車